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11月13日「大学と現代社会」講義録

人物紹介

1.11月7日に筑紫哲也さんが亡くなった。筑紫哲也さんは多くの本を執筆されている。授業で紹介された著書は以下の通りである。
・「メディアと権力」…多事争論をまとめたもの
・「メディアの海を漂流して」
・「ニュースキャスター」
など。
後の2冊は学生が読むべき本である。

2.大学時代、筑紫氏はボランティアサークル“フレンズ”に所属して活動していた。“フレンズ”はアメリカでクエーカー教徒が作ったサークルである。クエーカー教徒は権力による強制や暴力を嫌い、徹底した非暴力主義を貫くので兵役を拒否する。アメリカでは強い信念での兵役拒否は許されているからだ。
しかし、参加を続けるうちに、アメリカの“フレンズ”とは合わないと思ったので自分で新しく“フレンズ”を作った。そのサークルは今でも活動を続けている。筑紫氏は阪神淡路大震災のとき、自分で作ったサークルが活動しているのを知った。

3.大学卒業後、筑紫氏は様々なメディアに関わった。朝日新聞社で栃木、盛岡、そしてアメリカの統治下であった沖縄、東京、ワシントンと担当した。ワシントンではニクソン大統領のウォーターゲート事件での失脚やベトナム戦争の報道でジャーナリズムが新聞からテレビへと移っていくのを目の当たりにした。そして米国で多くのジャーナリストと出会ってから日本に帰ってきたので、日本のメディアジャーナリズムの問題を深く理解した。
筑紫氏は朝日新聞で受ける罰則をすべて受けている。例えば公平であるべき報道の立場で選挙の候補を支持してしまい、停職3ヶ月などを受けたことなどだ。

担当した雑誌、テレビ番組

・朝日ジャーナル
筑紫氏が編集長になると総合的に若者向きになった。

・こちらデスク(テレビ朝日)
朝日新聞時代に朝日新聞の外報部のデスクとして、担当した。朝日新聞の各部署のデスクを呼んできていた。

・NEWS23(TBS)
朝日新聞社を辞めた後、担当した。有名なコーナー「多事争論」は画期的である。NEWS23の3年目からやり始めた。自由に90秒話すコーナーを作った。一般的に30秒以上画面に同じ人が出ると嫌がられるので困難であった。準備ではメモを作るが喋るときはメモがなく、ちゃんと起承転結がある。毎日やるのはとても大変なことである。

多事争論では以下のような事柄を取り上げていた。

アメリカ憲法の修正第1条は「言論・出版の自由を規制させない」といったものである。このようにアメリカでは言論・出版の自由を憲法で保障しているほどジャーナリズムを保護している。ジェファーソンはアメリカ合衆国第三代大統領であり、言論や出版の自由をとても大事にした。ジェファーソンは大統領になる前、新聞などのメディアに対して好意的であった。しかしジェファーソンが大統領になると、新聞やジャーナリズムは彼を批判した。そして彼は新聞が嫌いになり、ジャーナリズムに対しての批判の言葉をたくさん残している。しかしそれでも規制する法律などは設けなかった。

多事争論をまとめた本「メディアと権力」の帯の部分で立花先生が筑紫さんの紹介を「筋金入りのリベラリスト」とした。筑紫哲也さんはアメリカで受けたジャーナリズムの影響を日本に広めようと尽力した人物だった。

ガンについて

現在、日本人の3人に1人がガンで死亡している。このまま行けば、2015年には2人に1人がガンで死亡するだろう。
ガン細胞は1gから2gになるまで発見することができない。そして1kgになる前に死に至る。細胞数は1gで109個、1kgで1012個である。ガンは1つのガン細胞から始まり、倍々に増えていくのが特徴である。例えば、5000億が倍になると1兆個である。発見から致死ラインまであっと言う間である。倍になる速さ(Doubling time)が人によって異なり、Doubling timeを知れば、大体の余命が分かる。

*癌についての知識を得るための本*

「ガン診療レジデントマニュアル」医学書院
医者が読む本であらゆるガンについて書いてある。ガンの大きさ、ガン細胞の直径の大きさで分類されている。それによってその後どうなるかが大抵分かる。
TMN分類…癌細胞の直径の大きさで分類している。

学生の発表

「滑稽新聞」
明治34年に三好章吉により月二回刊行された。編集者の宮武武骨は、雑誌の過激な内容のために禁固3年になったのが骨精神を貫く。投獄経験は五回。
滑稽新聞をずっと読んでいれば、それに内包される思想は危険思想ではないことは分かる。検事を批判することが多かった。政府からの圧力に耐えかね最終号は自殺号として自ら終止符をうった。

「江戸時代の印刷メディアに関する考察」

印刷博物館にいった感想:メディアとしての印刷技術に興味をもった。江戸時代でもメディアが発展していていたのは意外だった。(浮世絵、疱瘡絵、解体新書などさまざまな印刷手法で印刷されている)

仮説設定:「コンテンツの中身によって印刷・刊行の媒体の選択が行われていたのではないだろうか」ということから「コンテンツの中身を損なわず、最大限伝える意識が浸透していたのではないだろうか」

検証:メディアの特色を比較・検討する。考察するメディアとして浮世絵、疱瘡絵、解体新書、書籍(蘭学事始)を選び、比較内容は用途、特徴や印刷手法にした。
用途・特徴 印刷手法 考察
浮世絵 大量印刷、大衆を意識している。表現・色彩が滝にわたる「芸術」である。 木版、多色 表現が多岐にわたる=加工が容易な木版である。安価に大量生産が可能であり、他藩によって色彩の自由度が高い。
疱瘡絵 赤一色=単純な構造であり、御守の役割をしていた。大量配布が前提である。 木版、赤一色 単色刷り・大量散布を目標として木版一枚刷りによるコスト削減している。バリエーションが多岐にわたる。
解体新書 正確さが求められ、知識人がターゲットである。 木版、のちに銅版 図や表現の均一さを保つため、初版の木版からのちに銅板に変更している。正確な表現を目指した印刷。
蘭学事始 手記・記録物としており、世に出ることを想定していない。 写本、手書き 正確性・保存性を考慮する必要がなく、手書きであり写本による複製をしている。

考察の検証
「メディアの特性を意識した印刷手法がとられている」⇒「コンテンツの中身ごとに印刷・刊行の媒体の選択が行われる」仮説前半にたいしてはある程度の論拠を得る。

検証の問題点
印刷の進歩の歴史を無視している。
各メディアの登場時期を無視し、異なるコンテンツを同じ土俵で議論している。

・明確な時代考証のもとに分析を行う必要性がある。
・歴史年表をもとに考察すべきである。

第3回レポートについて

博物館などに行って、レポートを書く。(博物館以外でもよい)
なぜそこを選んで、そのなかでもどこがどうおすすめなのかを書く。締め切りは12月4日。